わが子に中学受験させようかなと思った時に知っておいたほうが良いこと
4年生の子を持つ友人(東京在住)から、「子供に中学受験させようかと思ってそろそろ塾に通わせようと思っている、塾の選ぶときのポイントあったら教えて。」とメールがありました。
そこで、以下のような返事をしました。(加筆修正しています)
周囲の人にはよく話していることだけど、自分の考えを文章でまとめたのは初めてだったので、だれかの参考になるかもと思いシェアします。
尚、本格的に塾探しをしている方ではなく、将来的に受験どうしようかなと考え始めた、小学校低学年までの中学受験初心者さん向けの話になります。
ちなみに、私は中学受験の専門家ではありません。小・中・高対象の個別指導をしていて、中学生は私立中・公立中の生徒をどちらもよく見ています。時々、中学受験塾に通っている子が補習として個別指導を受けに来たりもします。
また、うちの子は中学受験を経験後、今は公立中に通っています。
偏った意見と承知ですが、一個人の意見としてとらえていただければと思います。
受験させるなら覚悟を
私は中学受験業界は詳しくないのだけど、ちょっと受験をかじった一保護者として書くね。
まず、なぜ中学受験に興味を持ったのかな。絶対中学受験する、と完全に意思が固まっていないのなら、とりあえず塾に入るというのはお勧めしません。受験するかしないかは今決めたほうがいいよ。あと、塾を考え始めたのは親がきっかけだとしても、本人の意思・やる気がある上で塾通いを始めたほうがいい。
というのは、受験は想像以上にお金も時間も労力もかかるから。(〇〇も私と同じく地方公立組だから想像つきにくいけど、異常な世界よ。)
親子とも本気じゃないと無理。受験したくなった時にとか、学校の勉強よりもう少しやらせたいから、とかで一応塾に行くと言って通い始めた知り合い何人もいるけど、やっぱり塾に入ったら良くも悪くも洗脳されて、皆受験することになってる。こんなはずじゃなかった、とか、途中で塾を辞めることが頭をよぎっても、ここまでやったのだから、と途中で辞めるのは逆に勇気が要る決断になる。だから、塾スタートするのは、親も覚悟を決めて。
中学受験をするメリット
まず、私の思いつく受験するメリットはこちら。
①最新の教育が受けられる。
コロナ対応のオンライン授業対応の早さ然り、iPad1人1台当たり前とか。良いものを取り入れるのが早い。
通ってみて改めて、公立中は昔ながらの授業スタイルや教育内容。
学習指導要領が変わって公立も徐々に変わるのだろうけど、たぶん時間がかかる。
②先生の質・授業の質が高いことが多い。
私立の先生は競争社会だから実績を出さないといけないのでしょう。
③受験のプロセス自体が、親子とも成長のチャンスになる。
④自分のレベルや自分の個性に合った学校が選べる。自分に合った友達に出会える。
⑤中高一貫は高校受験なく中3の時にのびのびできる。部活をしたり、高校の勉強を先取りしたり。
⑥もし大学附属校に行くなら、大学受験もない。
⑤と⑥は私はメリットあまり感じないのだけどね。高校受験がないと中だるみするのを知ってるし、大学受験がないと高校でも勉強しない子多く見ているので。
中学受験をするデメリット
デメリット、というか中学受験する場合に知っておいてほしい事はこちら。
①中学受験のためだけの勉強をすることになる。
②小学校生活をある程度犠牲にしなければいけない。
③お金がかかる(通塾・中学入学後とも)
④中学入学後に燃え尽きるケースあり。
(志望校選びは、無理なく。ギリギリで入ると、入学時点で最下位。入ってから苦労する。)
⑤親子関係がぎくしゃくする場合も。
受験算数は必要か?
上のデメリット①「中学受験のためだけの勉強をすることになる」について。
受験算数は特に、ほんとにパターンで詰め込みで、思考力・表現力重視の今時の教育とかけ離れている!
面白いという人もいるのだけど、私はどちらかというと受験算数不要派。
中学に入ってから方程式でやったほうがよっぽど本質的なのに、ナントカ算のオンパレード、公式に面積図とかなんちゃらとか、意味が分からないまま「これは〇〇算で解けるかな?」って数を当てはめて解く子が多い。
最難関校レベルだと知っている公式をもとに自頭で考えることが求められるのだろうけど、標準レベルの子は完全にパターン化。
内容は、中学や高校でやる数学になっているのだから、無理もない。
実際に中学受験用テキストを見てみて、高校で習う結構ハイレベルなことをやっていたので驚いた記憶があるよ。
ちなみに、中学受験塾でも思考力養成系の公立中高一貫コースがあったりするんだけどに、まずは受験算数を習得して、効率良い解き方を知った上で自分で考える、という方針なのだそう。(とある塾の先生曰く)
私は、将来不要になる受験算数やるより、速さとか食塩水とかちゃんと意味がわかって解けるようにしてあげたいと思うんだよね。
公式の当てはめの勉強に、時間と労力かける意味あるのかなーって。
中学受験のためだけって割り切れる人ならOKなのだろうけど。
塾中心の生活になる
②「小学校生活をある程度犠牲にしなければいけない」について。
中学受験塾に通い始めると、最初は週2回だったりもするけどスタンダードは週3回塾の日。まず、放課後に友達と遊べなくなります。塾のない日も宿題に追われる。
週末は、最初は月1~2回テスト、プラス時々土日どちらか。6年生になると、毎週末、塾になる。塾に通うなら、小学校後半は家族で出かけたりする時間がぐんと減るのは覚悟で。
夏期講習は、6年生にもなると毎日9~10時間あたりまえ。(普通の小学生には無理でしょ!塾にいると出来てしまう)お盆は休みの所もあるけど、夏休み中びっしりの夏期講習をやってる大手塾もありました。小学校最後の夏休みは旅行とか行けない!
それと、お正月も。最後の冬休みは正念場なので、元旦以外は冬期講習というのも普通。
中学に入ると、部活で土日や長期休みも忙しくなるから、小学生時代の家族とすごす時間は貴重だと思うんだよ)。塾に通うなら、家族との時間がゆっくりとれるのは小学校低学年まで(塾に入るまで)。
(うちはレアなケースで、オプション講座を断ってたから土日も家族で出掛けたし、6年生の夏期講習・冬期講習も断った。5年生までは講習を休む人いても、6年生では他にいないと言われたけどね笑。受験も後悔したくないけど、本人のやる気もそこまでじゃなかったからほどほどに。本人のスイッチ入らないまま無理やり行かせてお金を捨てずによかった。。)
習い事は5年から、または6年から、諦める人が多い。好きなサッカーや野球、バレエなど、それなりに出席しなければいけないお稽古事は、一旦お休み。受験直前まで両立していく人もいるけど、すごいと思う。時間管理能力つくという意味ではいいね。でも、大体お稽古事と塾を天秤にかけて、塾を優先させる人の方が多い。
塾の日は、家族と夕飯が食べられない。頻繁に夕食用お弁当作りの負担も。(これは最近、共働き家庭のために塾でお弁当を手配してくれるサービスもあるね。)
寝る時間が遅くなる。終わるのが21時過ぎたりとかすると、そこから帰宅、で学校の宿題もして、、、と6年生位になると寝るのが0時過ぎになる子もよく聞く。私は、睡眠と食事は基本だと思っているので、特に育ちざかりの子にこういう負担はどうなの?とずっと疑問。
色々書いてたらネガティブになってきた(笑)
私が中学受験にあまり積極的でないのは、子供への負担が一番なのかも。
まあ、中学受験というより、中学受験塾が原因なので、受験するなら塾に通わず自学自習で行ける範囲の学校に行くのが理想だと思う。なかなか難しいけどね。完全に自力でなくても、季節講習だけ行くとか、家庭教師とか、負担の少ない選択肢もある。
希望の中学に入るために生活を犠牲にして塾に通うのかどうか、要検討。
金銭的負担
③「お金がかかる」について。
金銭面は、家庭によって考えなくていい場合もあるのだろうけど、もしまだあまり調べてなかったら、最初に聞くお月謝だけで考えないようにね。もちろん基本コースだけじゃなくて季節講習の度にお金かかるし、それ以外にも、オプションで〇〇選抜とか土曜/日曜特訓とか、単元別の強化講座とか、志望校別特訓とか、どんどん増えてくるよ。
うちの子が通った塾の場合だと、はじめ2万円台と思っていたら、6年生は時間数増えるからベースの受講料は上がるし、オプションも取るとプラス数万円(受かりたいなら取らざるを得ない心理になるのでほぼ全員取る)。更に6年生の夏期講習は確か10万円位だった。
※東京の大手中学受験塾の費用概算はこちら。(SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー。2019年の記事。)
参考)『中学受験の費用っていくらくらい?』
https://www.inter-edu.com/article/fj-examin/fj-examin_200123/
それからもちろん、私立は入学後、お金がかかる。
学費や入学時の費用、積立金などは中学受験情報サイト見たら分かるかな。
でも、ママ友と話してて意外な盲点だったのが交通費。
中学だと大人料金で、例えば片道400円なら1日800円、定期で1か月あたり20日分として1.6万円/月。当然、遠い中学に行く場合や電車+バス乗り継ぎの場合は、これが倍やそれ以上になることもあるわけで。受験直前期にママ友と、学費プラス月3万円!?びっくりした。
公立は学費も交通費もタダなのを考えたら、同じような教育内容だったら私立に行かせる必要ないし、お金をかけてまで通わせる価値があるかなあって考えたよ。
デメリット④⑤の詳細は割愛。
以上、中学受験は中途半端には始めない方が良いよ、ということでした。
私は自分の子が経験するまで知らなかったことが多かったから、参考になればいいな。
中学受験塾のスタート時期・準備
あ、でも、塾は3年生の2月からカリキュラムがスタート(※)してて、もう始まっているので、始めるなら急ぎ目で。今から検討なら早くて夏期講習からかな。夏期講習では1学期の復習からだから、まだ追いつけると思う。
うちは5年生から始めたので、塾では一通り6年生の分数計算まで終わっていて、最初は補習してもらいました。受験塾に通う可能性があるなら、計算は学年先取りで予習しておいたほうがいい。
※普通、4年生からの3年間でカリキュラムが組まれている。
4年生クラスのスタートが、3年生の終わりの2月。
2月からか、その前の3年生の冬期講習から、4年生のはじめの春期講習から行くのが一番無理なくスタートできる。
逆に、低学年から準備コースのある塾も多いけど、学習習慣をつけるとか通塾に慣れる意味合いなので、普通は4年の初めからでOK。
塾を選ぶ基準
で。もし塾に通う場合。(やっと!)
選ぶ基準について。私なりに思いつくことを書くね。
- 合格実績は無視!合格数は、塾の重複あり、本当にその塾に通っていた人数じゃない。模試受けただけの子とかも人数に含んでるので。例えば関西だとよく灘中〇名合格!って書いてあるけど、各塾のを足したらすごい人数になる(笑)それから、逆に、最難関合格の実績を売りにしている=実績の出ないレベルの子には面倒見がよくなかったりする塾もある。(ついていけなくても授業受けるだけ、お金払うだけ。無駄。)
- 見学/入塾テストに行って相性を見て決める。塾の方針、コース、曜日(4-5年生は土日集中のコースもあったりするよ)、クラス人数、担当の先生と親の相性、先生が子供にどんな風に接するかなど。子供の直感はすごく大事。あと、親のサポートがどのくらい求められるのか、等。
- 地域での評判(良い悪いじゃなくて、塾ごとの強みが分かるといいね。厳しい塾vsゆるめの塾、宿題多い塾vs少ない塾、親へのサポートが多い塾vs少ない塾、自分の子の小学校から通っている子が多い塾、等)
- 立地(子供が通いやすいか、安全か、など。親の負担も考えて、近いに越したことはない。)
結論
私なりの、中学受験に対する考え方をまとめるとこんな感じ。上に書いてないこともあり。
◆まず、中学受験をするか、しっかり考えて。できれば4年生の初めまで。受験する可能性があるだけで、安易に塾に入らないこと。
◆受験する場合、親は時間とお金と労力を割く覚悟。通い始めたら、迷いは捨てる。
◆子供も受け身的でなく、前向きな気持ちが必要。
◆受験する場合、無理な受験はさせない。
◆受験する=中学受験塾に入る、ではない。極論を言えば、塾なしで実力で入れる学校に行くのがベスト。
◆中学受験塾に入る場合、塾の言うことを鵜呑みにしない。(無用なお金は払わない)
転塾や、受験をきっぱりやめる判断も時には必要。